ドイツ・ブルガリア海外調査報告記

2013年9月2日から12日まで、一橋大学経済学部は、ブルガリアとドイツへの短期海外調査を実施しました。参加者は、経済学部生のほか法学部、社会学部の学生を含む計10名です。本ホームページでは、参加メンバーの紹介を兼ねて、各自分担して、調査旅行の印象や感想をレポートします。(なお、調査の詳細については、年度末に刊行予定の『調査報告書』(英文)をご覧下さい)

ソフィア大学での討論会 チュウン・ジェウ・マイ(経済学部3年)

ドイツ・ブルガリア海外調査のプログラムの一環として、ソフィア大学の学生との討論会に参加しました。討論会はソフィア大学日本語学科で行われました。ソフィア大学の学生は、「ブルガリアと日本の外交関係」と「ブルガリアの経済事情」という2つのテーマで発表しました。私達一橋大学の学生は、「ASEANとEUの比較」と「ブリガリアの経済・社会状況」という2つの報告をしました。それぞれのプレゼンテーションのあとで、お互いに意見を交換し、実りある討論ができました。討論では、ソフィア大学の学生は、自分のアルバイト経験といった身近な話題から、ブルガリアの不安定な政治状況をめぐる問題、日本の原子発電再稼働問題対する意見をきかせてくれました。興味深いプレゼンテーションと熱気を帯びた討論を通じて、ブルガリアの雇用環境や、EU内でブルガリア政府の声は十分反映されていないといった具体的な政治・社会事情について勉強ができ、視野が広がったと感じました。また、討論会とその後の交流会でソフィア大学の大学生と仲良くなり、楽しく有意義な経験となりました。

ソフィア大学の学生との討論会後、参加者全員で記念写真
ソフィア郊外のビトシャ山

pagetop

ソフィア大学の学生との交流 大澤亮介(経済学部4年)

一橋大学はブルガリアにある大学と協定を結んでおらず、日本でブルガリア人の学生と接する機会もそれほど多くないため、今回の研修では貴重な経験させて頂くことができました。現地の学生が日本語学科の学生であり、みな親切に接してくれたので双方の学生が仲良くなるまでにはそれほど時間はかかりませんでした。やはり日本の食文化やマンガ・アニメなどの共通の話題を通して交流を深めて行く学生が多かったように感じます。また、ブルガリアでは「はい」で首を横に振り、「いいえ」で首を縦に振ると一般的に言われていますが、最近の若い人にとっては「古い習慣」になりつつあり、両親や祖父母の世代の人々と話すときには意識的に頭を切り替えているそうです。その他、学生にアルバイト事情や就職に関して聞いてみたところ、賃金水準があまり良くないことやドイツなどの西側諸国に対する漠然とした憧れのようなものを感じました。

pagetop

ソフィア市内見学 藤井道夫(経済学部3年)

ブルガリアでの海外調査中、現地の学生が首都であるソフィア市内を案内してくれました。ブルガリアのイメージがあまりなかった私たちにとって、現地の学生がブルガリアの史跡やレストランに案内してくれたことは、心強くもあり、非常にいい経験になりました。今回の海外調査で初めてヨーロッパに行ったのですが、やはり日本と比べて教会や寺院がかなり多い印象を受けました。その中でも特に印象に残っているのはアレクサンダル・ネフスキー寺院です。外装が華麗なだけでなく、寺院内も非常に美しく、荘厳な雰囲気が漂っていました。また、教会での早朝のミサなども見ることができ、日本ではなかなか感じ難い宗教と共にある生活というものを感じられたように思います。
市内を見学する中で他のヨーロッパのブランド店や海外の多国籍企業がブルガリアに進出してきているように感じました。ブルガリアはつい20年前まで社会主義国家であり、近年EUに加盟した国です。そのブルガリアにどの程度海外企業が進出してきているのかということは個人的に興味があったので、実際に自分の目で見ることができてよかったです。

ブルガリア正教の総本山アレクサンダル・ネフスキー寺院

pagetop

ブルガリア・ドイツの交通 村田貴洋(法学部3年)

僕は、東京に住んでいると、日常的に電車やタクシーに乗っている。そんな自分にとって、今回の調査で一番驚いたのは、二か国の交通事情であった。 まずブルガリアでは、地面があまり整備されていない所が多かった。また、歩いていくうちに気づいたのだが、至る所に小さな展望所があった。地元の人に聞くと、ブルガリアがまだ共産主義であった時代に、歩行者を監視していたのだという。またメトロがソフィアの地下を走っていて、日本に比べとても安価で乗れるのだ。「これはブルガリアの近代化のシンボルだよ。」お土産店の店員には自慢げにそう語る。東京オリンピック開催時、戦後復興の象徴であった新幹線に似ているなと感じた。「交通」から歴史をここまで感じられる事は、とても新鮮だった。
一方、デュッセルドルフの電車に乗った時には、また別の驚きがあった。日本の電車の中でよく見かけるのは、「携帯電話の電源をOFFにして下さい」といったような、マナーに関する張り紙が目立つが、デュッセルドルフは違った。そのような注意書きはあまり見られなく、人々は携帯で普通に会話し、がやがや騒いでいる。それどころか、駅には券売機こそあれ、改札機がないのだ。もちろん数回に一回の確率で検札官が通り、違法乗車は罰金が科される。時折デュッセルドルフにいると、日本は少し規則で固め過ぎなのでは?と思うことがあった。また、ドイツでは週末は夜中でも電車が出ている。始発、終電を気にしなくていいのだ。ヨーロッパに来るのはこれが初めてだったが、東京の焦燥した雰囲気から解放された気がして、良い心持ちで調査に臨めたと思う。

ソフィアの路面電車
地下鉄の駅

pagetop

まさかのタッチ・アンド・ゴー 上野貴彦(社会学部4年)

最初の訪問国ブルガリアを後にし、我々はミュンヘン経由でデュッセルドルフへ向かった。ところがその飛行機は、空港付近での急な雷雨のために地上を僅かにかすめて着陸を断念、再び離陸したのだった。時間に対する正確さや交通インフラの成熟度に関して不安要素の多いブルガリアから、信頼のドイツに入った矢先に思わぬ「肩すかし」を喰らい、期待は妙な不安へと変わった。
しかし、周りを見渡してもさほど変わった様子は見られない。まもなくケルン空港への行先変更が告げられた。新たな目的地が近づくと、淡々と座る人の群れは着陸準備を始め、何事もなかったかのようにケルンへと降り立った。
冷静な乗員と乗客を前に、「これが日本だったら、あるいはブルガリアだったらどうなっただろう」と考えてしまった。単純な印象論はよろしくないと思っていても、ヨーロッパでは無意識に比較の視点が芽生えてしまう。日本同様に効率的な鉄道に乗り、ブルガリアと違ってよく整備された道を歩き、宿に着くまでの間にも。
それならば、意識して比較を行い、新たな気づきに繋げたい。そんな心持ちでプログラム後半を迎えられたのは、このタッチ・アンド・ゴーのお陰かもしれない。

pagetop

富士フイルム工場見学 板倉浩介(経済学部2年)

富士フイルムと言われて思い浮かんだことは、スマートフォン、デジカメといった電子機器の著しい普及に伴い、実際にフィルムに焼いたり写真として印刷したりすることが減ってきている中で、どのようにして経営をしているのだろうか、という疑問でした。私たちが訪問したティルバーグ(オランダ)の工場では、その疑問に対する答えを教えてくくれました。この工場で生産されている写真印刷用のインクジェット用紙(photo paper)は、既存製品の改善とイノベーションを重ね、独自の技術を用いて高品質なもので個人や企業のニーズを維持しているそうです。また、印刷する際の化学物質の発生量を減らす技術も考案し、サステイナビイリティにも注力し環境への配慮もしているそうです。今回の企業見学を通じて、このように新機器やニーズの変化に直面する企業は数多くあり、それへの対応力が生き残っていくのに必要なのだと実感しました。小学校の社会科見学で体験したような高揚感を抱きながら、単なる旅行や観光では立ち入って見ることのできない所まで丁寧に工場施設を案内していただいたことは、貴重な体験となりました。

富士フイルム工場(オランダ・ティルバーグ)では作業着とヘルメット着用で見学
日立パワー・ヨーロッパでのブリーフィング

pagetop

日立パワー・ヨーロッパ訪問 山崎瞳子(経済学部1年)

今回の海外調査で私たちは、デュッセルドルフからバスで1時間ほど離れた、デュイスブルクにある日立パワー・ヨーロッパを訪問しました。たくさんのお話を聞かせていただいた中で、メルケル首相の唱える脱原発政策に伴う、ドイツのエネルギー政策のお話に私はもっとも興味を抱きました。発電容量の点からいうと、ドイツでは2011年に原子力発電への依存が大幅に減少しました。2023年には脱原子力発電が完了することになっています。そのような状況の中で、再生可能エネルギー、またガスのシェアの拡大が見込まれているそうです。
日本から遠く離れたドイツでは、福島原子力発電事故の影響を受け、脱原発に向けて着実に進んでいます。一方、ようやく最後の発電所が停止された日本では、今でも再稼働に向けての動きが見られます。現在ドイツで注目されている再生可能エネルギー発電はオフショア発電ですが、その他にも様々な再生可能エネルギーが存在します。原子力発電所の再稼働よりも、原発の力に頼らずに日本のエネルギーを賄うことのできる、日本の環境に一番適したエネルギーの模索に力を入れるほうが健全ではないのかと思いました。自国で悲惨な事故が起きたわけでもないドイツで、脱原発に向け積極的に動いている中、あれだけ悲惨な事故を起こし、「節電」という目標を掲げれば、原子力発電所に頼らなくても電気を供給できるにも関わらず、再稼働に向けて動いている日本。今回の訪問は、この矛盾について考えさせられるきっかけとなりました。

pagetop

東京海上ヨーロッパ・ドイツ支店を訪問して 小野陸(経済学部1年)

私たちは、2013年度一橋大学経済学部 グローバル・リーダーズ・プログラムの、10日間に及ぶドイツ・ブルガリア海外研修の最終行程として、デュッセルドルフ旧市街地に位置する、Tokio Marine Europe Insurance(東京海上)ドイツ支店を訪問しました。私たちを案内して下さったTMEIの飯田氏は、如水会デュッセルドルフ支部の支部長でもあり、訪問に先駆けて行われた、如水会デュッセルドルフ支部の皆様との会食でも、私たちにお話くださったこともあり、訪問は、終止和やかな雰囲気の中進行しました。お忙しい中、私たちを快く受け入れて下さったこと、この場をお借りして感謝申し上げます。
企業訪問の詳細は、現在編集中の報告書にまとめられていますので、訪問の際に頂いたお話の中で、特に印象的だったフレーズを1つ。「Tokio Marine Europeは、グッド・カンパニーを目指す。」というものです。この、「グッド・カンパニー」とは、①社会にとって必要な、なくてはならない企業であること。と同時に、②勤務する人たちにとっても、働きやすい、良い企業であること。の2つを意味しているとのことです。「①社会にとってなくてはならない企業である」というのは、東京海上の業務である保険業が象徴しているように、TMEIが存在することで、他の企業が自らの業務に邁進することが出来る事を意味しており、その手段として、日本的とも言える「顧客との長期間の付き合い」をとても大事にしているそうです。
一方、「②勤務する人たちにとって良い会社である」ために行われている取り組みの一つとして、仕事のための会議とは別に、「テーマを決めて、個々の考えを出し合う」事によって、互いの人間性や考え方を知る機会を設けているそうです。日本人が時間に正確だというのはよく言われていることではありますが、時間感覚の違いに留まらず、性格、国民性の違いは、特にグローバルな職場ではしばしばトラブルの火種になるそうです。その中でTMEIの職場は様々な国籍の人が入り交じり、とてもアットホームな雰囲気で、取り組みの効果が現れているのだなと実感しました。お互いを理解し、気持ちよく働くということは、企業や職場のグローバル化が進む現代において、より一層の重要性を帯びているように感じました。

東京海上ヨーロッパ・ドイツ支店でのブリーフィング

pagetop

デュッセルドルフ観光 渡邉涼介(経済学部3年)

デュッセルドルフは商工業都市としての位置づけが強く、観光地という様相ではない。観光で訪れるとすれば、K20州立美術館、中心部のモール程度である。しかし折しも我々の滞在中にデュッセルドルフ市創立725周年祭が開催されていた(5年周期の開催ならば結構な祭り好きであり、25年周期だとすれば斬新な年設定である)。ライン川のほとりでアルトビール片手に祭りのムードに酔いしれるドイツ人。祭りという非日常的なイベントから感じ取れたのは、ありのままのドイツの雰囲気そのものだ。
さて、滞在中、自身が異国にいるという事実に一抹の違和感を覚えたのを忘れない。これはそのままこの街の特色を端的に表しているように思える。
デュッセルドルフは人口約60万人。これに対し日本人が6000人弱なので、日本人の人口密度が非常に高い。多くの日本企業が集積する、まさにヨーロッパの拠点都市だ。通りによっては、まさに石を投げれば日本人にあたると言えそうな有様である。
石畳の道、トラムが縦横無尽に走り、都市の様相はヨーロッパのそれに相違ない。しかし目の当たりにしたのはそこを闊歩する多くの日本人。子供の手をひく婦人。
私の陥ったカオスは、どうやらヨーロッパの都市に日本人が一定割合配合されて暮らしを形成しているという、陳腐な表現ながら「グローバル化の実像」に、身を投じたことの産物だった。

K20州立美術館のカフェ
デュッセルドルフ旧市街

pagetop

如水会デュッセルドルフ支部懇親会 リー・チーハオ(経済学部3年)

如水会の先輩方との交流は、今回の海外調査中にリラックスできたひと時となりました。デュッセルドルフの「なごみ」というお店で開催された懇親会は、我々海外調査の10名の学生と村田先生、マルチェフ先生のほかに、5名の一橋大学からドイツの大学への留学生と、約20名の如水会会員の方々がご参加くださいました。日本からほぼ1万キロ離れているデュッセルドルフで、これだけ大勢の先輩方とともに、ドイツ・ビールを飲みながら(当然、未成年はリンゴ・ジュースですが)本格的な日本食を楽しみました。そのときの光景は非常に印象深く、未だに私の心に強く残っています。如水会のネットワークは、まるで家族のように温かみがあると同時に、励みになると感じました。卒業後、私たちが社会人となり、いろいろな困難に遭遇することになっても、このネットワークがあるかぎり、世界のどこにいても、がんばりつづけられるような気がしました。

如水会の先輩と留学生と一緒に記念写真

pagetop